ふたり音

ふたり音・音感トレーニング

好きな曲で音感を鍛えるには?メロディーを2音ずつ明瞭にする練習法

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何度も聴き込んだ大好きな曲なら、メロディーも正確に覚えている。私はそう思っていました。しかし実際に音を確かめると、音から音までの距離をまったく正確に捉えられていない部分がありました。そこで役立ったのが、好きな曲のメロディーを2音ずつに分け、「ふたり音」と同じように音の関係を耳へ落とし込む練習です。

聴き込んだ曲も、音は曖昧なまま記憶されていた

この練習のきっかけになったのは、サザンオールスターズの「愛はスローにちょっとずつ」でした。私が使った楽譜では、Aメロの最初にE3、A3、C#4、E4と音が動く部分があります。

音同士が離れているため、一音ずつ確認すると想像していた以上に大きく動いていました。曲自体はよく聴いていたのに、私はその距離を正確に聞き取れていませんでした。頭の中にはメロディーの雰囲気が残っていても、一つひとつの音は低い解像度のまま記憶されていたのだと思います。

よく知っている曲と、音を正確に記憶している曲は、同じではありませんでした。

4音を一度に追わず、隣り合う2音へ分ける

長いメロディーを一度に正そうとすると、どこで記憶と実際の音が違ったのか分かりにくくなります。そこで、まずE3からA3、次にA3からC#4というように、隣り合う2音だけを取り出して聴きました。

最初の音を基準にして、次の音がどちらへ、どのくらい動くのかを聴きます。2音を歌って確かめ、明瞭になったら次の組み合わせへ進みます。小さな単位に分けることで、自分が思っていた距離と正しい距離の違いを比べやすくなりました。

これは、単音の高さだけを覚える練習とは少し異なります。音を孤立させず、「この音から次の音へどう動くか」という関係で記憶する練習です。

好きな曲だから、曖昧だった記憶と比べられる

練習に使うなら、自分が一番好きで、何度も聴いた曲が向いていると感じています。よく知らない練習曲では、正しい音を覚えることから始めなければなりません。一方、好きな曲には、すでに自分なりのメロディーの記憶があります。

その記憶を声に出し、楽譜や鍵盤で確かめると、「ここは思っていたより離れていた」「この音はもっと高かった」という差が見つかります。新しい曲をゼロから覚えるというより、昔から持っていた曖昧な記憶を、少しずつ鮮明にし直す感覚です。

好きな曲であれば、正しく聴けたときの変化も実感しやすく、同じ部分を繰り返すことも苦になりにくいと思います。

別の曲の記憶も、本当に合っているか確かめた

「愛はスローにちょっとずつ」で曖昧な音に気づいてから、私はほかのサザンオールスターズの曲についても、自分の記憶をそのまま信用せず、2音ずつ確かめるようになりました。

それまで行っていた単音中心の練習よりも、私にはこの方法の方が効果を感じられました。約1か月続けたころには、ほかの曲を歌うときにも、音から音までの距離へ注意が向くようになりました。

常に正しい音程で歌えるようになったわけではありません。ただ、自分が歌った音の距離が正しいメロディーと違うとき、以前ならそのまま通り過ぎていたところで、少しずつ違和感を持てるようになりました。

一曲を明瞭にすると、ほかの曲の聴こえ方も変わる

私は、音の解像度が低いときに記憶した曲を明瞭にし直すことが、音楽全体への解像度を上げる練習になるのではないかと考えています。

一つの曲で「この2音はこれくらい離れている」という感覚を積み重ねると、別の曲でも似た動きに気づくための手がかりが増えます。好きな一曲だけを練習しているように見えても、そこで覚えた音の関係は、ほかのメロディーを聴くときにも使えます。

これは私自身の練習から得た実感と仮説であり、同じ期間で誰にでも同じ変化が起きると断定するものではありません。それでも、間違いに違和感を持てるようになったことは、自分で音程を直すための大切な変化でした。

好きな曲を使った、2音ずつの練習手順

  1. 1何度も聴き込んだ、一番好きな曲を一つ選ぶ
  2. 2メロディーの短い部分を声に出し、自分が覚えている音で歌ってみる
  3. 3楽譜や鍵盤で正しい音を確かめ、隣り合う2音だけを取り出す
  4. 4最初の音から次の音まで、どのくらい上がるか、下がるかを聴いて歌う
  5. 52音が明瞭になったら次の2音へ進み、最後にメロディーとしてつなげる

最初から一曲を通す必要はありません。まずは印象に残っている数音だけで十分です。歌って違和感がなければ楽譜で確認し、違っていたら、その前後の2音へ戻ります。

楽譜を持っていない曲は、正規の楽譜販売・配信サービスから探せます。たとえばヤマハ「ぷりんと楽譜」には、スマートフォンやタブレットで対象楽譜を閲覧できる定額プラン「アプリで楽譜見放題」があります。対象曲や利用条件を確認し、自分がよく聴いてきた曲を選びます。

ふたり音の基礎練習と、好きな曲を行き来する

曲の中で分からない2音が見つかったら、「ふたり音」で同じ方向や近い音程差を意識して練習します。反対に、ふたり音で覚えた関係を好きな曲の中で探すと、抽象的だった練習が実際のメロディーと結びつきます。

ふたり音だけを続けるのでも、曲を最初から最後まで歌い続けるのでもなく、基礎練習と好きな曲を行き来する。その繰り返しが、曖昧だった音の記憶を明瞭にする助けになると考えています。

好きな曲の前に、2音の関係を聴いてみる

まずは「ふたり音」で、前の音から次の音への動きを聴いてみてください。その後、一番好きな曲の短いメロディーを2音ずつ確かめると、基礎練習と実際の曲がつながります。

ふたり音で練習してみる