ふたり音・音感トレーニング

大人からでも音感は鍛えられる?私が実感した2つの変化

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音感は、生まれつき備わっている人だけのものなのでしょうか。大人になってからピアノを始めた私は、ある日の練習をきっかけに「耳も練習によって変わるのではないか」と考えるようになりました。

数時間練習した後、歌ってみて驚いた

私は大人になってからピアノを始めました。途中で弾かない時期もありましたが、断続的に20年ほど続けています。普段の練習時間は、1日30分から1時間程度です。

あるとき、たまたま数時間続けてピアノの練習に打ち込んだことがありました。その後で歌を歌ってみると、自分でも驚くほど正確に音を捉えられていたのです。

いつもは、出したい音の高さが曖昧だったり、歌っている音が合っているのか確信を持てなかったりします。ところがそのときは、頭の中に浮かぶ音と自分の声が、いつもよりはっきり結びついている感覚がありました。

音感には、音の記憶が関係しているのではないか

もし音感が生まれつきの能力だけで決まるなら、数時間の練習によって歌い方が急に変わるのは不思議です。なぜ、その日は音を正確に捉えられたのだろう。そう考える中で、私なりの一つの仮説にたどり着きました。

音感には、聴いた音を覚えておき、必要なときに思い出す力が深く関係しているのではないか。

数時間ピアノの音を聴き続けた直後は、音の記憶が鮮明に残っていた。そのため、歌うときにも正しい高さを捉えやすかったのではないかと考えたのです。

これは研究によって結論づけた話ではなく、あくまで自分自身の体験から生まれた仮説です。しかしこの経験は、音感を「あるか、ないか」で考えていた私にとって、大きな転機になりました。音を覚える力を練習できるなら、大人になってからでも耳を鍛えられるかもしれないと思ったからです。

一つの音を覚え続けるのは難しかった

そこで私は、音の記憶そのものを鍛えようとしました。A3、中央のドより少し低いラの音を完全に再現できるように、集中して覚えようとした時期もあります。

練習している間は、音が頭に残っているように感じます。けれども何時間かたつと、その感覚は薄れ、また分からなくなってしまいました。私の場合、一つの音を単独で記憶し続ける方法は、簡単ではありませんでした。

それでも、数時間の練習後に耳の変化を感じた経験があったため、「自分に音感がない」と諦めるのではなく、記憶に残りやすい練習方法を探してみようと思えました。

一音ではなく、2つの音の関係を覚える

試行錯誤の末に始めたのが、音を一つずつ孤立させるのではなく、つながる2つの音をセットで覚える練習です。

たとえば、メロディーが「ドー、レー」と進むなら、レの直前に前の音であるドを装飾音符のように短く添えて、「ドー、(ド)レー」と弾きます。こうすることで、「ド」と「レ」という別々の音ではなく、「ドからレへ進む」という関係を繰り返し耳で確認できます。

一つの音だけでは時間とともに分からなくなっても、2つの音であれば、どちらかを基準にもう一方を捉えられます。少なくとも私には、この方法が音のつながりを記憶するうえで合っていました。

この練習にたどり着くまでの経緯と具体的な方法は、別の記事「大人からピアノを始めて20年、2つの音で耳を鍛える練習にたどり着いた」でも詳しく紹介しています。

実感した変化1:歌う音程が安定した

練習を続けて感じた一つ目の変化は、歌うときの音程が以前より安定したことです。

以前は、出したい音を思い浮かべても、その高さを声で再現するのが難しい状態でした。2つの音のつながりに意識を向けるようになってからは、前の音から次の音へどのくらい動けばよいのかを捉えやすくなり、声を出すときの迷いが減りました。

数時間練習した直後だけに感じた鮮明さとは違い、日々の練習を通じて、少しずつ変化が積み重なっていくのを感じています。

実感した変化2:間違った音に気づけるようになった

二つ目の変化は、自分が間違った音を出したときに気づけるようになったことです。

音程が外れていても、それを自分の耳で認識できなければ直すことができません。以前よりも「今の音は違う」と感じられるようになったことで、自分で歌や演奏を修正するための手がかりが増えました。

常に正しい音を出せるようになったわけではありません。それでも、違いを聴き分け、自分で気づけること自体が、耳が変わってきた証拠だと感じています。

大人になってからでも、耳は変わる

私の経験だけで、誰にでも同じ変化が起きるとは言えません。また、音感のすべてを記憶力だけで説明できるとも考えていません。

ただ、数時間の練習後に歌の音程が変わったこと、そして練習を続ける中で音程が安定し、間違いにも気づけるようになったことは、私自身が経験した変化です。

音感を生まれつきの才能だけで決まるものと考えず、音の記憶や音同士の関係を少しずつ育てていく。そう捉えることで、大人になってからでも取り組める練習が見えてきました。

2つの音から、耳の練習を始めてみる

「ふたり音」は、私自身の試行錯誤から生まれた、2音セットの音感トレーニングです。まずは範囲を狭くして、2つの音を聴き、そのつながりを頭の中で再現するところから試してみてください。

ふたり音で練習してみる