ふたり音

ふたり音・音感トレーニング

大人からでも音感は鍛えられる?私が実感した2つの変化

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大人になってからピアノを始めた私が、耳の変化を初めて感じたのは20代のある日でした。ただし、その変化は一日で消えました。その後、耳に焦点を当てた練習を続け、数週間で別の変化を感じました。ここでは、一時的な変化と継続で残った変化を分けて、現在も難しいことまで振り返ります。

大人からピアノを始め、耳は後から意識した

私は大人になってからピアノを始めました。途中で弾かない時期もありましたが、断続的に20年ほど続けています。普段の練習時間は、1日30分から1時間程度です。

20代から30歳頃までは、楽譜を読み、指を動かして曲を弾くことが練習でした。聞こえた音の高さを声で再現できるか、歌っている音が合っているかを確かめる発想はありませんでした。

鍵盤の位置と音名は分かっても、その高さを頭の中へ残し、必要なときに声で出せるとは限りません。長く楽器を続けた後になって、演奏する力と、音を捉えて再現する力は同じではないと気づきました。

一日の変化:7時間弾いた後だけ、音を声でなぞれた

20代のある日、約7時間ピアノを弾き続けました。その後、テレビから流れたCMの音楽を声でなぞると、いつもより正確に再現できました。音の高さが頭の中にはっきり残り、そのまま声へ移せるような感覚でした。

ただし、変化を感じたのはその日だけでした。翌日以降も同じように再現できたわけではありません。

当時は、ピアノを長く弾けば耳も自然に育つのだと思いました。今振り返ると、一時的に音の記憶が鮮明になったことと、必要なときに音の高さを捉えられることを取り違えていました。一日の経験だけで、原因や効果を断定することもできません。

それでも、耳の状態が練習の前後で変わり得ると知ったことは、後から音感へ向き合う出発点になりました。この日の出来事と、カラオケの音程表示を見て思い込みを改めた経緯は「楽器を練習すれば音感も身につく?ピアノを7時間弾いて気づいたこと」で詳しく紹介しています。

一つの音を覚えようとして、何時間かで忘れた

そこで私は、音の記憶そのものを鍛えようとしました。A3、中央のドより少し低いラの音を完全に再現できるように、集中して覚えようとした時期もあります。

練習している間は、音が頭に残っているように感じます。けれども何時間かたつと、その感覚は薄れ、また分からなくなってしまいました。私の場合、一つの音を単独で記憶し続ける方法は、簡単ではありませんでした。

それでも、数時間の練習後に耳の変化を感じた経験があったため、「自分に音感がない」と諦めるのではなく、記憶に残りやすい練習方法を探してみようと思えました。

2つの音の関係を、毎日の練習にした

試行錯誤の末に始めたのが、音を一つずつ孤立させるのではなく、つながる2つの音をセットで覚える練習です。

たとえば、メロディーが「ドー、レー」と進むなら、レの直前に前の音であるドを装飾音符のように短く添えて、「ドー、(ド)レー」と弾きます。こうすることで、「ド」と「レ」という別々の音ではなく、「ドからレへ進む」という関係を繰り返し耳で確認できます。

一つの音だけでは時間とともに分からなくなっても、2つの音であれば、どちらかを基準にもう一方を捉えられます。少なくとも私には、この方法が音のつながりを記憶するうえで合っていました。

現在は、寝る前に「ふたり音」を約10分使い、別に好きな曲のメロディーをピアノで最初から2音ずつ弾く練習を1日30〜60分ほど続けています。この練習にたどり着くまでの経緯と具体的な方法は、別の記事「大人からピアノを始めて20年、2つの音で耳を鍛える練習にたどり着いた」でも詳しく紹介しています。

数週間後の変化1:声の高さがまとまり始めた

練習を続けて感じた一つ目の変化は、歌うときの音程が以前より安定したことです。

2音の練習を始めてから数週間で、何気なく歌った鼻歌の高さが以前より一つにまとまっていると感じました。前の音から次の音へどのくらい動けばよいかを捉えやすくなり、声を出すときの迷いも減りました。

さらに、ピアノで2音を捉えて声にする練習を続けて約3週間から1か月たったころ、以前は音のかたまりとして聞いていたギターのイントロを、一音ずつ声でなぞれることにも気づきました。音名は分からなくても、原曲と声を重ね、ピアノで同じ音を探せるようになりました。

7時間弾いた日の鮮明さは当日だけでした。一方、継続後の変化は、練習直後ではない鼻歌や普段聴いている曲の中で気づきました。私にとって、この違いが一時的な変化と積み重なった変化を分ける手がかりになっています。

数週間後の変化2:自分のずれに気づけるようになった

二つ目の変化は、自分が間違った音を出したときに気づけるようになったことです。

音程が外れていても、それを自分の耳で認識できなければ直すことができません。以前よりも「今の音は違う」と感じられるようになったことで、自分で歌や演奏を修正するための手がかりが増えました。

常に正しい音を出せるようになったわけではありません。それでも、違いを聴き分け、自分で気づけること自体が、耳が変わってきた証拠だと感じています。

特に、人とハモって自分の声が主旋律へ近づいたときや、二つの声が気持ちよく響いていないときに、以前より早く違和感を持つようになりました。気づければ、ピアノで自分の音を確かめ、修正を試せます。

できるようになったことと、今も難しいこと

できるようになったこと

  • 鼻歌の高さを以前より一つにまとめる
  • 自分の音程のずれへ早めに気づく
  • よく知るギターの旋律を一音ずつ声でなぞる
  • 音のかたまりに複数の音があると気づく

今も難しいこと

  • 聞いた音の名前をすぐ答える
  • 人の歌声の高さを正確に捉える
  • オクターブを間違えずに歌い始める
  • 人とハモりながら自分の音を保つ

私の経験だけで、誰にでも同じ変化が起きるとは言えません。また、音感のすべてを記憶力だけで説明できるとも考えていません。

以前から続けた単音練習や、好きな曲を何度も聴いた経験もあるため、現在の変化が2音練習だけによるものとも断定できません。ただ、2音練習を始めて数週間後に、鼻歌とずれへの気づきが変わったことは、私自身が経験した経過です。

大人から始めた私にとっての上達は、急にすべての音が分かることではありませんでした。以前は通り過ぎていた音のずれや重なりに気づき、自分で確かめられる場面が少しずつ増えることでした。

2つの音から、耳の練習を始めてみる

「ふたり音」は、私自身の試行錯誤から生まれた、2音セットの音感トレーニングです。まずは範囲を狭くして、2つの音を聴き、そのつながりを頭の中で再現するところから試してみてください。

ふたり音で練習してみる