ふたり音・音感トレーニング
大人からピアノを始めて20年、2つの音で耳を鍛える練習にたどり着いた
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楽譜通りには弾ける。それでも、自分の中に浮かんだ音が何の音なのか分からない――。これは、大人になってからピアノを始めた私が、長い間感じてきた壁です。
楽譜通りには弾けても、自由には弾けなかった
私は大人になってからピアノを始め、途中で弾かない時期もありながら、20年ほど続けてきました。練習を重ね、楽譜があればそれなりに弾けるようになりました。
しかし、あるとき気づきました。自分の中に浮かんだ音が何の音なのか分からなければ、即興性のある演奏はできません。思いついたメロディーをすぐ鍵盤で鳴らすことも、別の調へ移して弾くことも難しいままです。
歌についても同じでした。ピアノは以前より弾けるようになったのに、歌はいつまでたっても上達した実感がありませんでした。楽譜を読んで指を動かす力と、頭の中の音を聴き取って声や楽器で再現する力は、別に鍛える必要があるのではないか。そう考えるようになりました。
一つの音を覚えようとしても、忘れてしまった
ここ数年は、特に耳を鍛えることに焦点を当てて練習してきました。A3、つまり中央のドより少し低いラの音を、いつでも正確に再現できるようになろうと熱中した時期もあります。
ピアノ練習の最初の約10分を使い、A3を何度も弾いて声に出しました。チューナーで声の高さを確かめ、時間を空けてから同じ音を出せるかも試しました。集中している間は、確かに覚えたように感じます。
ところが、そのまま曲の練習へ入ると、もうA3の高さが分からなくなっていました。長時間たってからではなく、同じ日の練習中にも忘れてしまう。一つの音だけを記憶にとどめようとしても、私の場合はなかなか定着しませんでした。
メロディーを一音ずつ覚える中で、2音のつなぎに気づいた
A3だけでなく、実際の曲のメロディーも一音ずつ覚えようとしました。ピアノでメロディーをゆっくり弾きながら、音名を声に出してなぞり、狙った音が出るまで同じ部分を何度も繰り返しました。
その過程で、一音ずつ切り離して覚えるよりも、前の音から次の音へ移る「つなぎ」を覚えた方がよいのではないかと気づきました。そこで始めたのが、つながる音を2つセットで覚える方法です。
私が実際に行ったのは、次の音を弾く直前に、前の音を装飾音符のように短くもう一度弾く練習でした。
たとえば「ドー、レー」というメロディーなら
ドー、(ド)レー
レーの直前に、前の音であるドを短く添えます。
この弾き方をすると、ドとレを離れた二つの音としてではなく、「ドからレへ進む」という一つのまとまりとして何度も確認できます。1音だけでは手がかりがなく、3音以上では私には記憶しきれませんでした。2音ならセットで覚えやすく、一方を基準にした音同士の距離も捉えやすく感じられました。
単音の「レ」は再現できても、「ド・レ・ミ」と続けると途中のレがブレるように感じた体験と、3音へ進む前に2音で練習する理由は、「単音なら歌えるのに、連続すると音程がズレる?2音から始める音感トレーニング」で詳しく紹介しています。
始めたときの手応えが、約2週間後に声の変化になった
2音の練習を始めたとき、一つの音を覚えようとしたときにはなかった「これはいけるかもしれない」という手応えがありました。そして約2週間続けたころ、自分の声で音をなぞるときの安定度に、最初のはっきりした変化を感じました。
以前は、出したい音を頭の中に思い浮かべても、その高さを正確に声にするのが難しい状態でした。2つの音のつながりを繰り返し聴き、弾くようになってからは、前の音から次の音へどのように移ればよいのかを捉えやすくなり、歌いながら自分でも音程が安定していると感じるようになりました。
もう一つの変化は、間違った音を出したときに自分で気づけるようになったことです。正しい音を出す力だけでなく、「今の音は違う」と耳で判断できることも、歌や演奏を直していくためには大切だと感じています。
カラオケでは、昔から私の歌を知っている人たちから「うまくなった」と言われるようにもなりました。自分で感じた歌いやすさだけでなく、以前を知る人の反応が変わったことで、練習を続ける手応えがさらに強くなりました。
これは音感についての一般的な効果を証明するものではなく、あくまで私自身の練習から得た実感です。それでも、一つの音を覚えようとして行き詰まっていた私にとって、2つの音を関係として覚えることは大きな転機になりました。
白鍵からでも、自分に合う方法から始めればよい
一つでは忘れてしまう音も、2つのつながりとしてなら覚えやすい。この実感から、2音セットで耳を鍛えるトレーニングサイト「ふたり音」を作ることにしました。
ふたり音では、順番に鳴る2つの音を聴き、その組み合わせを答えます。スタート音を固定して次の音を覚えたり、ゴール音を固定してそこへ向かう音を覚えたりできます。まずは白鍵だけ、完全5度までなど、取り組みやすい範囲に絞ることもできます。
初めてなら、まず白鍵だけに絞ると取り組みやすいと思います。ただし、これが唯一の正解ではありません。スタート音やゴール音を固定する、音域や音程差を狭めるといった選択肢は、決まった型を強いるためではなく、それぞれが続けやすい方法を選ぶために用意しています。
最初からすべての音を当てようとする必要はありません。同じ基準音から始まる2音を繰り返し聴き、声に出し、可能なら楽器でも確かめてみてください。間違えたときも、正解の2音をもう一度聴き、そのつながりを確認することが練習になります。
すでに音の高さを自在に捉えられる人には、基礎練習として必要ないかもしれません。それでも、演奏中に浮かんだ音を楽器で再現したい人や、歌うときの音程を安定させたい人には試してほしい方法です。私自身は、精度を高める練習には終わりがないと考え、今も続けています。
大人になってからでも、耳を鍛える楽しさを
私自身、長くピアノを続けてから耳の練習に向き合いました。楽譜通りに弾くところからもう一歩進み、自分の中にある音を歌ったり、自由に演奏したりしたい。同じように感じている方に、この練習方法が一つのきっかけとして届けばうれしいです。