ふたり音・音感トレーニング
楽器を練習すれば音感も身につく?ピアノを7時間弾いて気づいたこと
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20代のある日、私は約7時間ピアノを弾き続けました。その後、テレビから流れたCMの音楽を声で再現できて、自分でも驚きました。ただし、同じように聞こえたのはその日だけです。それでも当時は、ピアノさえ練習していれば耳も自然に育つのだと思いました。音感を独立して練習する必要に気づくまでには、その後かなりの時間がかかりました。
20代から30歳頃まで、音感が必要だと思っていなかった
20代から30歳頃までの私は、楽器や歌に音感が必要だと、あらためて考えたことがありませんでした。ピアノを弾くときは、楽譜を読み、指を動かし、曲を形にすることが練習でした。聞こえた音の高さを正確に捉え、声で再現できるかを確かめる発想はなかったのです。
鍵盤のどこを押せばどの音が鳴るかは分かります。しかし、楽器の上で正しい鍵盤を押せることと、耳の中に正しい高さが残っていることは同じではありません。その違いにも、当時は気づいていませんでした。
ピアノを7時間弾いた日、テレビCMの音楽を声で再現できた
20代のある日だけ、約7時間ピアノを練習したことがあります。毎日続けたわけでも、何か月も集中して取り組んだわけでもありません。本当に一日だけの長時間練習でした。
その日の練習後、テレビから流れてきたCMの音楽を声でなぞると、いつもより正確に再現できました。音の高さが頭の中にはっきり残り、そのまま声へ移せるような感覚でした。現在、音感トレーニングの後に感じる耳の補正と似た状態だったと思います。
ただ、その感覚が続いたのはその日だけでした。翌日以降も同じように再現できたわけではなく、一日の経験から原因や効果を断定することもできません。それでも「長くピアノを弾けば、耳にも何かが起こる」と実感した出来事でした。
楽器を続ければ、耳も自然に育つと思った
この経験から、私は特別な音感トレーニングをしなくても、ピアノを練習し続ければ耳は自然に良くなるのだろうと考えました。演奏の練習と耳の練習を、はっきり分けて考えていなかったのです。
楽器の練習中も音は聞いています。長時間集中すれば、一時的に音の記憶が鮮明になったり、声で再現しやすくなったりすることはあるのかもしれません。しかし私の場合、その一日の変化を、耳の力が継続して身についたことと取り違えていました。
一時的に耳が冴えたことと、必要なときに音の高さを捉えて再現できることは、同じではありませんでした。
カラオケの音程バーは、いつも少し低かった
自分が正確な音を理解できていないと知ったきっかけは、カラオケに音程バーが表示されるようになったことでした。自分では合っているつもりでも、表示を見ると、声がほとんどずっと正しい高さより少し低いのです。
一音だけ大きく外すのではなく、全体にわたって少し低い。これは、歌い方の問題だけでなく、出したい高さそのものを自分の中で正確に捉えられていないのではないかと思うきっかけになりました。
もちろん、カラオケの表示だけで歌声の良し悪しをすべて判断できるわけではありません。それでも私にとっては、「ピアノを弾いてきたから耳も育っているはずだ」という漠然とした感覚を見直す、目に見える手がかりになりました。
演奏とは別に、耳へ意識を向ける必要があった
そこでようやく、音感を一つの課題として切り出して練習する必要を痛感しました。楽譜どおりに指を動かすだけではなく、二つの音がどちらへ、どのくらい動いたかを聴く。正解を確認したら、聞こえた高さを声で再現する。自分の声が基準の音より高いか低いかを聴き直す。演奏中には曖昧だった部分へ、意識的に注意を向ける練習です。
これは「楽器の練習では耳が育たない」という意味ではありません。楽器を弾くことでも、音を聴く経験は重なります。ただ私の場合は、弾くことに集中するだけでは、正しい高さを記憶し、自分の声で再現する力を十分に確かめられませんでした。
今は、音程バーではなく音楽を楽しめる
現在は、カラオケの音程バーを細かく追わなくても、それなりに正しい音を出せているという自負があります。常に完璧な音程で歌えるという意味ではありません。自分の耳で高さを捉え、ずれたときには以前より気づける。その感覚があるため、表示に正解を教えてもらい続けなくてもよくなりました。
私にとって大きな変化は、点数やバーへ注意を奪われず、ただ音楽を楽しめるようになったことです。音感トレーニングは、音を当てる能力を競うためだけのものではありません。自分の耳と声をある程度信じ、演奏や歌そのものへ戻るための練習でもありました。
楽器経験者にも、耳だけを練習する時間があってよい
一日の体験だけから、すべての楽器演奏者に同じ練習が必要だとは言えません。しかし、楽器を長く続けているのに音程へ自信を持てない人や、歌うといつも少し高い・低いと感じる人には、演奏とは別に耳だけへ焦点を当てる時間に意味があると思います。
まずは二つの音を聴き、上がったか下がったかを答える。正解を確認したら、二つとも声でなぞる。難しければ、自分が無理なく出せる音域に狭める。楽器を上手に弾くための練習とは別に、聞こえた高さを自分の中へ残す練習を少し加えるだけでも、自分の耳を見直すきっかけになります。
二つの音を、聴いてから声で再現する
「ふたり音」で2音を聴き、答えた後に正解音をもう一度再生して、二つの高さを順番に声でなぞってみてください。楽器を操作する手を止め、耳と声だけに集中できます。