ふたり音

聴き慣れた曲で、音を確かめる

『夕焼小焼』で音感トレーニング。穏やかな旋律の中の3度と4度

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「夕焼小焼」は、私にはかなりシンプルで、どちらかといえば平坦に感じるメロディーです。でも、ところどころにある少し離れた音は、音感の練習によさそうです。流れのまま歌う前に、その二音だけを確かめてみます。

「赤とんぼ」と、名前を取り違えそうになる

この曲の名前を聞くと、「赤とんぼ」と取り違えそうになることがあります。「赤とんぼ」の歌い出しにも「夕焼け小焼け」という言葉があるからです。同じ夕暮れを思わせる曲でも、旋律の動きは違います。

以前取り上げた「赤とんぼ」は、出だしの七音で1オクターブを超えて上がりました。「夕焼小焼」の出だしは、ソ・ソ・ソ・ラ。同じ高さを繰り返してから少し上がります。まず、この違いを音で聴いてみてください。

「夕焼小焼」で練習する

この記事のド・レ・ミは、ハ長調の表示譜に対応する固定ドの音名です。男声設定では表示譜より1オクターブ低く再生します。調を変えても二音の間隔は変わりません。

同じ3度でも、ソ→ミとミ→ドで幅が違う

第1フレーズの第2小節、最後の二音はソ→ミです。下がる幅は3半音、短3度。続く第3小節の最初のドへは、ミから4半音、長3度下がります。繰り返していたソから、ミ、低いドへと段階的に下がるところです。

一方、第2フレーズの第5小節、最後の二音はミ→ソ。上がる幅は3半音、短3度です。同じ「3度」という名前でも、長3度と短3度では幅が1半音違います。

まずソ→ミ、次にミ→低いドを一組ずつ聴いて歌ってみます。最後にソ・ミ・ドとつなぐと、二段とも3度なのに幅が少し違うことを、曲の中で確かめられます。

高いドへ上がる4度、ソへ戻る4度

第7小節の最後のソから、第8小節の高いドへは、5半音上がります。ソ・ラ・シ・ドと数える完全4度です。音名を四つ数える幅と、鍵盤で5半音という幅を、音でも確かめます。

第3フレーズの第10小節では、高いドからソへ完全4度下がります。まず第7〜8小節のソ→高いドを聴いて歌い、次に第10小節の高いド→ソを聴きます。同じ幅を上がるとき、下がるときで、自分の歌い方がどう変わるか確かめてみてください。

高いドを無理に出す必要はありません。歌いにくければ調や声域を変え、楽に声を出せる高さで二音を比べましょう。

二音を取り出し、四小節の流れへ戻す

  1. 一音ずつ聴く:楽譜の音符を押し、音が止まってから同じ高さで歌います。
  2. 二音をつなぐ:気になる3度や4度の二音を順に押して聴き、「ラ・ラ」など同じ母音で歌ってみます。
  3. フレーズへ戻す:四小節ずつの再生で、前後の音やリズムを含めて確かめます。

第9小節の最初の二音は、付点八分音符と十六分音符で長さが3対1です。出だしの均等な八分音符との違いも、ゆっくり聴くと確かめやすくなります。

画面は歌声を録音・採点する機能ではありません。自分で歌ったあとにピアノの音を聴き直し、気になるところへ戻るために使います。

1923年に楽譜集へ載った、夕暮れの歌

「夕焼小焼」は中村雨紅の詞、草川信の曲です。日本童謡協会の解説によると、1923年7月、文化楽社の『文化楽譜―あたらしい童謡』その1に掲載されました。ここでは楽譜の発表年として紹介し、作曲年とは区別しています。

今回比較したのは、1930年刊『世界音楽全集 第11巻 日本童謡曲集』の掲載譜として紹介されている公開画像と、Art Studio まほろばの現代公開譜です。歌の16小節の音高と音価、四つの八分休符は一致していました。古い譜面の旋律を、今も聴き慣れた形でたどれます。

日本童謡協会「中村雨紅の『夕焼小焼』」

今回の楽譜と練習用の変更

底本は、池田小百合「なっとく童謡・唱歌」で紹介されている上記の古い掲載譜(画像内190頁)です。主旋律を独自に採譜・浄書し、ハ長調・2/4拍子・四分音符=84で再生します。1923年の掲載譜そのものは未確認であり、今回の底本を初出とは表示しません。

前奏・間奏・伴奏・歌詞と反復を省き、歌の16小節を一巡します。強弱・スラー・終盤のrit.は再現せず一定テンポとし、底本で終止線の後にある最後の八分休符を第16小節内にまとめました。歌の音高・音価は変えていません。

MIDIとMusicXMLはハ長調・表示譜の高さ・テンポ84で固定です。画面で選んだ調・声域・テンポは、配布ファイルには反映しません。資料画像や現代譜のPDF・MIDIをそのまま転載・再配布するものではありません。

聴き慣れた曲の、少し離れた二音から

穏やかに感じる旋律でも、楽譜をたどると同じ音の繰り返し、近くの音への移動、少し離れた音への跳躍があります。まずは一か所だけ。二音を確かめてから曲へ戻ると、いつものメロディーの聴こえ方も変わるかもしれません。