ふたり音

聴き慣れた曲で、音を確かめる

放課後の『帰りの曲』。遠き山に日は落ちてを、音で確かめる

作成日:
最終更新日:
最終確認日:

小学生の頃、放課後になると「遠き山に日は落ちて」が流れていました。帰る時間を知らせる曲です。今聴いても、郷愁を誘うメロディーだと感じます。その聴き慣れた旋律を、今回は楽譜を見ながら確かめてみます。

帰る時間の音楽を、今度は自分の声で

聴けば分かる曲でも、再生を止めて歌うと、次の音を迷うところがあるかもしれません。懐かしいという感覚を入口に、どこまで音を思い出せるか試してみましょう。

練習では国内の教育関係者向けに公開された歌唱譜と照合し、「遠き山に日は落ちて」の14小節を用意しました。前奏から待つことなく、最初のミ・ソ・ソから始められます。学校で流れていた録音や編曲は特定していないため、当時の放送をそのまま再現したものではありません。

「遠き山に日は落ちて」で練習する

ミからソへ。次のソは同じ高さ

練習の基準はハ長調です。冒頭はミ・ソ・ソ、続いてミ・レ・ド。最初のミからソへは短3度上がり、次のソは高さを変えずに歌い直します。「上がる」「同じ高さ」「下がる」を分けて聴ける短いまとまりです。

まずミとソの音符を順に押し、二音だけを声でつないでみます。次にソをもう一度加え、ミ・ソ・ソにします。同じ音が続くとき、勢いで次も上げてしまわないか、自分の声とピアノの音を比べてみてください。

音の名前で考えにくければ「ラ」などで歌っても構いません。長い曲を一度に覚えるより、知っている旋律の中から一組を取り出す練習です。

ゆったりした曲にも、短い音がある

この譜面では、最初のミが付点8分音符、次のソが16分音符、その次のソが四分音符です。四分音符を1拍とすると、長さは0.75拍・0.25拍・1拍。初めの二音は3対1になります。

ゆったりした印象のまま全てを同じ長さで歌うと、この小さな動きが消えてしまいます。初期テンポは練習用の52(比較した歌唱譜は56)。短いソは、長く歌い直す次のソへ進む途中の一音として聴いてみましょう。

楽譜では短い音でも、必ずしも小さく歌う音という意味ではありません。まず高さと長さを確かめます。再生に追いつきにくければ44へ下げ、ゆっくりすぎて流れをつかみにくければ60や68に上げてみてください。

三つのフレーズで、戻ってくる旋律を聴く

第1:聴き覚えのある出だし。 ミ・ソ・ソから始まる四小節です。似た始まりが2回続きますが、最初はレで、次はドで区切られます。終わりの高さに耳を向けます。

第2:少し高い場所へ。 ラ・高いド・高いドから始まります。続くシ・ソ・ラも聴き、出だしのミ・ソ・ソとの高さの違いを確かめます。似た二小節の動きがもう一度続きますが、シからソへ移る長さは初回が付点8分音符+16分音符、二回目が八分音符二つです。

第3:戻ってきて、最後の結びまで。 もう一度ミ・ソ・ソへ戻ります。後半は高いド・レ・ミへ進み、高いミを歌い直したあと、レ・ド・レ・ラ・ドへ進みます。さらにレ・ド・レ・ラ・ドという結びが続きます。戻ってきたからといって、最後まで第1と同じではありません。

  1. 一つだけ聴く。 調と声域を選び、第1フレーズを再生します。
  2. 止めてから歌う。 楽譜から目を離し、思い出せる範囲を歌います。
  3. 迷った二音を押す。 停止中に音符を一つずつ押し、その前後の高さを確かめます。
  4. 同じ設定で聴き直す。 二音からフレーズへ戻ります。慣れたら、第1と第3の終わり方を比べます。

全体の音域はハ長調でドから、その上のオクターブのミまでです。男声はド3〜ミ4、女声はド4〜ミ5で再生します。高いところが苦しければ変ロ長調へ下げるか、その部分は聴くだけにしてください。

今日は「最初の二音」か「第1と第3の終わりの違い」のどちらか一つを確かめるだけでも十分です。練習画面は録音・採点を行わないので、自分で気づいた箇所を次回の出発点にできます。

別れの場面を思い出す曲では「蛍の光」も取り上げています。曲の途中で迷った二音を練習する考え方は、好きな曲から始める二音の練習でも紹介しています。

交響曲の旋律から「家路」へ

もとの旋律は、ドヴォルザークが1893年に作曲した交響曲第9番『新世界より』の第2楽章に登場します。原曲ではイングリッシュホルンが主題を奏でます。ドヴォルザークの作品解説には、作曲時期と楽章ごとの説明があります。

その後、William Arms Fisherが英語詞と編曲を手がけた「Goin’ Home」が出版されました。ロチェスター大学のSibley Music Libraryで、1922年刊と記載された低声用・ハ長調の楽譜を閲覧できます。今回実際に譜面を確認した古い歌曲資料です。日本語版の初出譜ではありません。

古い英語歌曲譜と今回の底本は、出だしの音の並びを共有しています。一方、歌詞の音節に合わせて同じ高さの音を細かく分ける箇所や、後半の構成は異なります。古い歌曲を全部たどる代わりに、練習は現在の日本語歌唱譜にある14小節で区切りました。

日本では堀内敬三の日本語詞による「家路」が「遠き山に日は落ちて」の歌い出しで知られています。山梨県立図書館の資料案内で、歌詞と楽譜の掲載書籍が紹介されています。今回は歌詞を載せず、旋律だけを練習します。

歌唱譜と比べて、最後の結びまで

2026年10月22日のレビューで、岡崎市現職研修委員会・野外活動部のキャンプソング集にある「遠き山に日は落ちて」の全14小節を確認しました。山の学習で歌うための公開資料で、国内での歌唱の一例です。唯一の標準版とは断定しません。

旧練習はArt Studio まほろば『家路(交響曲第9番より)』の主題12小節でした。歌唱譜と比べると、第4小節のレ→ミ、第5小節のシ→ソの音の長さ、第11小節の高いミの歌い直しに違いがあり、歌唱譜には最後の結び2小節もあります。今回は聴き慣れた歌の流れを確かめられるよう、歌唱譜の音高・音価と14小節の構成を採用しました。

保護期間が終了したドヴォルザークの旋律を独自に採譜・浄書したものです。72音符・最後の四分休符を保持し、タイ・反復記号はありません。歌詞・コード・強弱・ブレスを省き、最後のフェルマータは延長せず、一定の長さで再生します。テンポは比較譜の56から、従来の練習用52にしました。

第1・第2フレーズは四小節、第3は結びを含む六小節です。伸ばす音も譜面の音価に応じて再生します。最後の行が二小節だけになっても全幅に引き伸ばさず、自然な幅で表示します。

MusicXML・MIDIは今回の14小節から新しく作成し、ハ長調・表示譜の高さ・テンポ52に固定しています。画面の調や声域の変更は配布物に反映しません。公開元の楽譜画像・歌詞・録音は再配布していません。

放課後の旋律を、三つのフレーズで練習する