ふたり音

聴き慣れた曲で、音を確かめる

『線路は続くよどこまでも』の楽譜と音程練習。身近なメロディーを歌って確かめる

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CMやキャンプ、炊飯器のメロディー。「線路は続くよどこまでも」は、いろいろな場面で耳にする馴染みの曲です。あまりに身近で、いつ覚えたのかを意識することもありません。その旋律を、今度は一音ずつ確かめてみたいと思いました。

暮らしの中の曲を、自分の声でたどる

炊飯器という連想には、実際の使用例もあります。タイガーのIH炊飯ジャー「JIO-C」の取扱説明書の冊子2頁には、この曲のメロディーで知らせる機能が紹介されています。どの家庭の炊飯器でも同じ曲が流れるということではありませんが、歌う場面以外でも旋律に出会えるのは面白いところです。

聞こえてくれば分かる曲でも、音を止めて歌うと、迷う場所が見つかるかもしれません。今回は、歌い出しからの主旋律16小節を四つに分けました。記憶の中の曲を手がかりに、ピアノの音と自分の声を比べてみましょう。

「線路は続くよどこまでも」で練習する

最初のソから、低いレへ

練習の基準はト長調です。最初の音はソ、次は低いレ、そしてソへ戻ります。ソからレへは完全4度下がります。隣の音へ一段下りる動きではなく、少し離れた高さへ移る二音です。

まず停止中に最初のソとレの音符を順に押します。その後、音を鳴らさずに二音だけ歌ってみてください。次のソまで加えると、元の高さへ戻れたかも確かめられます。音名に慣れていなければ「ラ」などで歌って構いません。

最初から全体を通すより、聴き覚えのある出だしで「どれくらい下がるか」を確かめるところから始められます。似た練習の進め方は、好きな曲から始める二音の練習でも紹介しています。

軽快さをつくる、長い音と短い音

冒頭のソは付点四分音符、低いレは8分音符です。四分音符を1拍とすると、1.5拍と0.5拍。その後には、付点8分音符と16分音符の、もっと短い組み合わせも出てきます。どちらも長さの比は3対1です。

曲の勢いで全部を同じ長さにすると、知っている曲なのに少し違って聞こえるかもしれません。初期テンポは練習用の96にしました。短い音を追いにくければ80や64へ下げ、まず長短の違いを聴きます。慣れたら底本の112に戻してみましょう。

各フレーズの最後は、3拍伸ばして1拍休みます。休符も含めて四小節のまとまりです。最後の音を伸ばし続けたり、次のフレーズへ急いで入ったりせず、一度声を止めるところまで練習してみてください。

四つのフレーズで、同じところと違うところを聴く

第1:出だしの跳躍。 ソから低いレへ下がって戻ります。後半は高いドを歌い直し、最後はシを伸ばします。

第2:同じ始まり、違う終わり。 最初の二小節は第1と同じです。その先はラが続き、最後もラ。第1の終わりのシと聴き比べます。

第3:半音だけ下がる音。 ラ・ラの後にソ♯が現れ、ラへ戻ります。ソ♯はラの半音下です。その次の小節ではソ♮へ戻るので、二つのソを区別して聴きましょう。

第4:低いところから結びへ。 ミ・ファ♯・ソから始まります。途中の低いレからソへ上がり、最後はシ・ド・シ・ラ・ソと進んで終わります。

練習画面の音名は西塚式です。ト長調のソ♯は「サ」、ファ♯は「フィ」と表示します。初めて見る名前なら、まず音符を押して高さを聴くだけでも大丈夫です。西塚式音名の説明も参照できます。

  1. 一つのフレーズを聴く。 歌いやすい調と声域を選びます。
  2. 再生を止めて歌う。 覚えている旋律を、自分の声でたどります。
  3. 迷った二音だけを確かめる。 音符を押して聴き、もう一度歌います。
  4. 同じ設定で聴き直す。 慣れたら、第1と第2の終わり方を比べます。

ト長調での音域は、男声がレ3〜ド4、女声がレ4〜ド5です。高い音が出しにくければヘ長調や変ホ長調へ下げ、低すぎる場合はイ長調も試せます。今日は出だしの二音だけ、次回はソ♯の前後だけでも十分です。練習画面は録音・採点を行わないため、自分が迷ったところを目印に進めます。

1894年の掲載譜には、別の前後の節もある

原題は「I’ve Been Working on the Railroad」。古い資料として、プリンストン大学が公開する1894年の曲集『Carmina Princetonia』第8版、24〜25頁の「Levee Song」を確認しました。今回実際に譜面を閲覧した資料のうち、最も古いものです。

この譜面では、聴き覚えのある旋律が4/4拍子の「Chorus」に現れます。ただし曲の冒頭には3/4拍子の節があり、後ろにも別の節とChorusへ戻る指示があります。今の主旋律だけを最初から最後まで並べた楽譜とは、構成が違います。Chorusの最初の区切りも、古い譜の上声は二分音符と二分休符ですが、今回の底本は付点二分音符と四分休符です。伸ばす長さと休む長さも同じではありません。

背景にも単純に「楽しい汽車の歌」とは言い切れない面があります。大学の資料解説は、この歌と当時の人種差別的なミンストレル・ショーとの関わりを扱っています。一方、Smithsonian Folkwaysの解説冊子(24〜25頁)は、鉄道労働者の歌だったとする伝承には証拠がないと指摘しています。題名や歌詞だけから成立事情を決めつけず、ここでは確認できた掲載譜を紹介します。

練習では古い版の前後の節を加えず、現在の公開譜にある馴染みの主旋律を使います。日本語詞や古い英語詞は掲載せず、音の動きに絞りました。

今回の底本と、練習用に変えたところ

底本はArt Studio まほろばの「簡単移調楽譜屋」で公開されている『線路は続くよどこまでも』です。現代の編集譜で、1894年の譜面をそのまま写したものではありません。

公開ページで「移調しない(G/Em)」を選び、「楽譜を表示」を押すとト長調のPDFを閲覧できます。1ページ目の第5〜20小節が今回の範囲です。この16小節は、別の日本向け公開譜であるピアノ塾のドレミ付き譜とも、調を揃えて音高・音価・休符が一致することを確認しました。

底本の音高・音価・四つの四分休符を保ち、四小節ずつに分け、第1小節から番号を振り直しました。前奏の第1〜4小節、後続の第21〜28小節、D.S.(ダルセーニョ)で戻る繰り返し、コードと歌詞は省いています。練習画面の「全曲」は、この主旋律16小節を一度再生する意味です。

MusicXMLとMIDIは、今回の主旋律から新しく作成した配布ファイルです。ト長調・表示譜の高さ・テンポ96に固定しており、画面で変えた調や声域は反映しません。

身近なメロディーを、四つのフレーズで練習する