聴き慣れた曲で、音を確かめる
『オクラホマミキサー』の楽譜と音程練習。中学時代に踊った曲を、耳でたどる
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「オクラホマミキサー」を聴くと、中学生時代に踊ったことを思い出します。当時は曲を楽しむより、足の運びを覚えるのに一生懸命でした。
足の運びを追っていた頃の曲を、もう一度
聴き覚えのある曲から、昔の出来事やその場の空気がふっとよみがえる。皆さんにも、そんな一曲があるのではないでしょうか。
今回は、あの頃踊った「オクラホマミキサー」の旋律に耳を向けてみます。足の運びを追っていた頃には気づかなかった音の動きが、見つかるかもしれません。
最初から踊ったときの速さに合わせる必要はありません。短く聴いて止め、自分の声でたどってから、気になった二音を確かめる。思い出を手がかりに、今の耳で聴く練習です。
「オクラホマミキサー」で練習するシ・ラ・ソ。その先のファ♯まで聴いてみる
練習の基準はト長調です。出だしはシ・ラ、それからソへ下がります。最初のシとラは8分音符二つで、合わせて1拍。その短い出だしから、次の小節のソへ入る「弱起」の旋律です。
まず停止中にシとラの音符を順に押し、二音だけ歌ってみます。次にソまで加え、さらにファ♯へ下がってソへ戻るところを聴きます。シ→ラ、ラ→ソは全音、ソ→ファ♯は半音です。同じように階段を下りて見えても、隣の音との幅は同じではありません。
練習画面では西塚式音名を使い、ファ♯を「フィ」と表示します。音名が気になる方は西塚式音名の説明も参照してください。歌うときは「ラ」など、言いやすい音で構いません。
後半は、短い音と長い音の組み合わせ
前半では、8分音符が細かく上下します。後半に入ると、シ・レ・シ・レという離れた二音の行き来が現れます。最初の三音の長さは0.5拍・1拍・0.5拍。四分音符のレが拍の裏から始まり、次の拍へまたがるのが特徴です。
音の数だけを追って全部同じ長さにすると、このリズムが変わってしまいます。第3フレーズをテンポ64や80で聴き、短いシの後にレを少し長く保つ感覚を確かめましょう。その後のド・ミ・ド・ミにも、同じ長さの組み合わせが出てきます。
ここで比べるシ→レは短3度、ド→ミは長3度です。どちらも五線譜では一つ飛ばしですが、音の幅は違います。リズムを揃えて二音ずつ歌うと、跳び方の違いに耳を向けられます。
四つのフレーズで、思い出の旋律を確かめる
第1:出だしと低い音への移動。 シ・ラから始まり、ソ・ファ♯・ソ・ラへ。途中のソから低いシへ下がるところは、隣の音への動きと分けて聴きます。
第2:似た始まり、違う結び。 ソ・ファ♯・ソ・ラの動きが戻ってきます。後半で高いミに届き、シ・ラ・ソと下がって前半を結びます。
第3:シとレ、ドとミの行き来。 後半の出だしのラから練習します。短い音と長い音を保ちながら、二つの跳躍を聴き比べます。
第4:高いソから、終わりへ。 高いソを二度鳴らし、レへ下がります。最後は第2と同じシ・ラ・ソ。結びの後の1拍の休みまで聴きましょう。
- 一つ選んで聴く。 初期テンポは96。音を追いにくければ64や80へ下げます。
- 止めてから歌う。 今日は出だしのシ・ラ・ソだけでも構いません。
- 迷った音符を押す。 前後の二音を聴いて、もう一度自分の声で比べます。
- 同じ設定で聴き直す。 高さとリズムのどちらで迷ったか、分けて確かめます。
この旋律は、低いシから高いソまで、1オクターブを超える音域があります。基準のト長調で男声はシ2〜ソ4、女声はシ3〜ソ5です。高い部分はヘ長調や変ホ長調へ下げるなど、フレーズごとに歌いやすい高さを選びましょう。全体を同じ調で歌い通すことより、確かめたい二音を選ぶことから始められます。録音や自動採点は行いません。
懐かしい旋律から短く取り出す方法は、好きな曲から始める二音の練習でも紹介しています。
踊りの名前と、古い譜面に残る旋律
「オクラホマミキサー」は踊りの名前で、日本ではそのまま曲名としても親しまれています。旋律の英語名は「Turkey in the Straw」、日本語では「藁の中の七面鳥」です。国内の楽譜出版社の解説でも、この関係を紹介しています。
古い掲載譜として確認したのは、ニューヨークのThos. Birchが1834年に出版した「Zip Coon」です。米国議会図書館の書誌と、同じ出版者・年の記載がある公開スキャンを照合しました。今回、実際に譜面まで確認した資料のうち最も古いものですが、旋律の誕生や最初の出版を断定するものではありません。
古い譜面にはピアノの前奏があり、歌の声部は冒頭から現代譜と違います。現代譜のソ・ファ♯・ソ・ラという8分音符の動きに対し、古い歌の声部ではソの長い音や付点リズムが現れます。さらに各節の後に歌う別の部分と後奏が続き、前半・後半を繰り返す今回の底本とは構成も一致しません。練習には、聴き慣れた形をたどれる現代のメロディー譜を選びました。
この歴史には、人種差別的な表象を用いたミンストレル・ショーとの関わりもあります。フェリス州立大学のJim Crow Museumの解説を参照し、学校での思い出とは別に、曲がたどった背景として記しておきます。古い歌詞や挿絵はここには転載していません。
今回の底本と、練習用に変えたところ
底本は、ピアノ塾の『オクラホマミキサー』無料楽譜①(ドレミ付き)です。現代のメロディー編集譜で、原典ではありません。ページ内の「PDFのダウンロード」から、全1頁の譜面を閲覧できます。
音高・音符の長さ・最後の四分休符を保ち、前半・後半それぞれの反復を省きました。練習画面の「全曲」は前半→後半を一度ずつ再生します。前半末尾の3拍と後半の出だしの1拍、最後の3拍と末尾の休符1拍をそれぞれ同じ小節へまとめ、表示譜は冒頭の弱起と16小節にしています。音の順番や長さは変えていません。
第4フレーズ途中のラにあるフェルマータは表示譜とMusicXMLに残しました。自動再生とMIDIでは任意の延長を加えず、一定テンポで進めます。底本にテンポの数値指定はなく、練習用の初期値を96にしました。MusicXMLとMIDIはト長調・表示譜の高さ・テンポ96固定で、画面の設定変更は反映しません。
- 採用譜:ピアノ塾のメロディー譜(PDF)。全1頁、2026年9月20日確認。掲載ページの更新日は2020年1月20日です。
- 配布元ページの「サイト内の楽譜について」に、同サイト作成のパブリックドメインの楽譜は、出典明記またはリンクによって商用利用も可能とあります。この条件に従い、旋律を独自にデータ化・浄書しています。
- 1834年版の書誌:Library of Congress「Zip coon」。Thos. Birch、New York、1834年。
- 比較に閲覧した古い譜面のスキャン(PDF)。Sheet Music Singer公開、PDFの2〜3頁。歴史資料には差別的な歌詞・表象が含まれます。
学校で使われた録音や編曲はさまざまで、当時の音源そのものを再現したものではありません。まずは耳に残っている旋律を手がかりに、出だしの三音から確かめてみてください。
思い出の旋律を、四つのフレーズで練習する