ふたり音

曲の原典をたどる

唱歌「虫のこえ」の原典は?1912年の楽譜で短い音型を聴き分ける

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「虫のこえ」は、虫の鳴き声を表す短い言葉が次々に登場する唱歌です。1912年の楽譜を開くと、その短いまとまりに、同じ高さの音や上下する音が並んでいます。歌詞の勢いで一曲を歌う前に、二つ、三つの音を取り出して確かめてみましょう。

原典は冊子16–17頁(ビューア画像11/27)

今回の練習画面の基にしたのは、広島大学図書館が公開する文部省『尋常小学唱歌 第三学年用』です。国定教科書共同販売所から1912年に出版された資料で、第8曲として、16頁に旋律譜、17頁に二番までの歌詞が掲載されています。

ビューアでは「Image 11 of 27」を選ぶと見開きを確認できます。目次では「蟲の聲」、曲の見出しでは「蟲のこゑ」と表記されています。ここでは読みやすく「虫のこえ」としています。

資料ページにはパブリックドメインと明示されています。ふたり音では原典画像を転載せず、16頁の印刷された音符を読み、新しく旋律データと楽譜を作りました。書き込まれた数字や音名は練習譜へ移していません。

1912年の原典を見る

ニ長調・2/4拍子、原典の速さは80

原典の調号にはファとドにシャープがあり、最後はレで終わるニ長調です。拍子は2/4、速度表示は四分音符80。練習版は全20小節、61の音符で、音域はレ4からレ5までの1オクターブです。

練習画面では男声を選ぶと譜面より1オクターブ低いレ3〜レ4、女声を選ぶと譜面と同じレ4〜レ5で再生します。これは練習用の設定で、原典が男声・女声の音域を指定しているわけではありません。高すぎる、低すぎると感じたら、声域と調を組み合わせて歌いやすい高さにしてください。

末尾には一か所、練習用の整理を加えました。原典の最終小節は二分音符のレと四分休符で、合わせると3拍になります。練習版ではレを2拍伸ばして終え、最後の四分休符を省いています。画面の楽譜、再生、MusicXML・MIDIはすべて同じ扱いです。

最初の6小節と次の6小節は、同じ旋律

第1〜6小節と第7〜12小節は、音の高さも長さも同じです。練習画面の「第1フレーズ」「第2フレーズ」がそれぞれこの区間に当たります。一番の歌詞では、前半が松虫、後半が鈴虫のまとまりですが、言葉を外して旋律だけを聴くと同じ形だと確認できます。

まず第1フレーズだけを聴き、難しいところを確かめてから第2フレーズを再生してみてください。別の歌詞を思い浮かべても、同じ音の並びを保てるかが確認するポイントです。

上がり下がりと、同じ高さの繰り返しを比べる

第5小節は「ラ・シ・ラ・シ」と交互に動き、第6小節は「ラ・ラ・ラ」と同じ高さを繰り返してから半拍休みます。第11〜12小節にも同じ組み合わせが現れます。以下の音名は原典のニ長調を、練習画面と同じ西塚式の固定ドで読んでいます。

最初は第5小節のラとシを音符クリックで一音ずつ聴き、その二音を声でつないでください。次に第6小節のラを三つ聴き、音を区切っても高さを変えずに歌ってみます。上がるところと、同じ高さにとどまるところを分けて確かめる練習です。

二音を追う余裕がなければ、テンポ80から56へ下げて第1フレーズを聴き直します。音程を確認した後で80へ戻し、短いまとまりをつなぎましょう。本文と画面の音名は西塚式なので、シャープを含む音の呼び方を確かめたい場合は西塚式音名の解説も参照してください。

休符の後に、次の音へ入り直す

第2小節の最後は半拍の休符で、その次はフィ(一般的な固定ドではファ♯)から上のレへ移ります。休符があるからといって次の音を曖昧にせず、まず次のレを単音で聴き、直前のフィと聴き比べてください。

その二音が確かめられたら第1フレーズを再生し、半拍の休みを含めてつなぎます。第4小節の最後は1拍休むので、半拍の休みとの長さの違いにも耳を向けられます。一度に難しければ、先に音の高さ、その後に休む長さを確認してください。

後半は「第3フレーズ」が第13〜16小節、「第4フレーズ」が第17〜20小節です。第3フレーズ末尾の1拍の休みを経て、第4フレーズの高いレへ入り直すところも同じ手順で練習できます。

短いまとまりから「虫のこえ」を練習する

まずニ長調・テンポ80で第1フレーズを聴き、追いにくければ56へ下げます。停止中に音符を押すと単音を確認でき、連続再生中に押すとその音から先へ再生を続けます。二音、フレーズ、全曲の順に広げてみてください。

「虫のこえ」で練習する

似た始まりから終わり方が変わる曲も試したい方は、「紅葉」の原典と練習方法へ進めます。

参照資料