曲の原典をたどる
唱歌「紅葉」の原典は?1911年の楽譜から繰り返す旋律をたどる
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「秋の夕日に照る山紅葉」で始まる唱歌は、1911年の教科書までオンラインで遡れます。よく知る旋律を原典の形で追うと、似た音の並びを少しずつ変えながら一曲を組み立てていることが見えてきます。
原典は冊子30–31頁(ビューア画像18/27)
広島大学図書館デジタルアーカイブが公開する文部省『尋常小学唱歌 第二学年用』は、1911年に国定教科書共同販売所から発行された資料です。「紅葉」は冊子30頁に旋律、31頁に二番までの歌詞が掲載されています。ブラウザのデジタルビューアでは「Image 18 of 27」を選ぶと、見開きで確認できます。
資料全体はパブリックドメインと明示されています。ふたり音では原典画像を転載せず、30頁の音符を一つずつ読み取り、新しい演奏データと楽譜へ起こしました。
1911年の原典を見るヘ長調、4/4拍子、四分音符92
原典はヘ長調、4/4拍子で、速さは四分音符92です。全16小節には60の音符があり、音域は中央のドから、その1オクターブ上のレまで広がります。
一曲の音域は低いドから、その1オクターブ上のレまであります。旋律中で最も大きく跳ぶところは完全5度で、多くは隣り合う音や短いまとまりで進みます。跳躍だけを狙って歌うのではなく、前後の二音をゆっくりつないでから元のテンポへ戻すと、音の距離を確認しやすくなります。
同じ始まりを、違う終わりへつなぐ
第1フレーズと第2フレーズは同じ音の並びで始まり、終わり方だけが変わります。後半にも似たまとまりが再び現れます。覚えているつもりで先へ進むと、同じ入口から別の着地点へ向かうところで音を取り違えやすい構造です。
練習画面では四つのフレーズを個別に再生できます。まず第1・第2フレーズを交互に聴き、最後の一小節だけを比べてください。その後で全曲へ戻すと、反復と変化を耳で区別しやすくなります。
現在の歌唱譜とも、旋律と休符が一致する
カワイの電子ピアノPN4取扱説明書109頁の歌唱練習譜と、つくしぱんだが公開する「もみじ」の旋律譜を全曲比較しました。60音の高さ・音価、8つの四分休符、16小節の構成は1911年譜と一致しています。練習では、この歌い慣れた形を保って原典を底本にしています。カワイ譜のテンポは88ですが、ふたり音の初期値は原典の92です。
ピアノ塾の入門用ピアノ譜では、句末の休符を前の音の伸ばしに置き換えています。ピアノで音をつなげる編曲と、歌唱の息継ぎを含む譜の違いです。ふたり音では歌唱譜の休符を残し、一番分の旋律を一巡します。歌詞・伴奏・強弱やスラーは再生データに含めません。
現在も小学4年生の共通教材
文部科学省の小学校学習指導要領では、「もみじ」は「さくらさくら」「とんび」「まきばの朝」とともに第4学年の歌唱共通教材に挙げられ、高野辰之作詞、岡野貞一作曲と記載されています。100年以上前の教科書と現在の教材をつなげて確認できる一曲です。
原典から作った旋律を聴く
音符の単音確認、テンポ変更、フレーズ練習、移調ができます。まず原典のヘ長調・テンポ92で、繰り返す部分を聴き比べてください。
「紅葉」で練習する似た始まりから別の終わりへ進む練習を続けるなら、「きよしこの夜」の二つの終わり方も聴き比べられます。
参照資料
- 文部省『尋常小学唱歌 第二学年用』国定教科書共同販売所、1911年、30–31頁(広島大学図書館所蔵)
- 文部科学省『小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 音楽編』(第4学年の歌唱共通教材)
- カワイPN4取扱説明書109頁「もみじ」(歌唱練習譜、音高・音価・休符を比較)
- つくしぱんだ「『もみじ』の楽譜・解説と演奏のヒント」(公開された全曲の旋律譜を比較)
- ピアノ塾「紅葉」(ピアノ編曲との音価の違いを比較)