ふたり音

聴き慣れた曲で、音を確かめる

『こがねむし』で音感トレーニング。短調の響きと出だしの上がり下がり

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「こがねむし」は、私には短調であることを強く感じさせるメロディーです。出だしで音が上がり、すぐに下がってくるところも、練習になると思いました。聴き慣れたこの動きを、二音ずつ取り出して確かめてみます。

出だしは、レ→ミ→ファ→ミ→レ

今回の練習譜はニ短調です。冒頭はレ・ミ・ファ・ミ・レと動き、最後に低いラへ下がります。まず第1フレーズを聴き、音が止まってから同じ旋律を歌ってみましょう。

レ→ミは全音、ミ→ファは半音です。同じように一つ隣の音へ上がっていても、幅は違います。戻るときも、ファ→ミは半音、ミ→レは全音。上がったときの幅を、下がるときにも保てるかを確かめます。

第2フレーズの階段のような上がり下がりも、音の幅を確かめるのにぴったりです。短調の響きと上下の動きを短い曲で練習できるので、私には、これまでふたり音で取り上げた練習曲の中でもイチオシです。

「こがねむし」で練習する

この記事の音名はニ短調の表示譜に対応する固定ドです。小節番号は歌の8小節で数えます。男声設定では表示譜より1オクターブ低く再生します。

短調の響きを、レとファから確かめる

冒頭のレからファまでは3半音の短3度です。曲では間にミを通りますが、楽譜のレとファだけを順に押せば、短3度の幅を取り出して聴けます。次はファ→レの順でも試してみます。

ニ短調の主音はレで、ファはその短3度上の音です。この関係を聴いてからレ・ミ・ファ・ミ・レへ戻ると、曲全体の印象と音の間隔を結び付けて確かめられます。ただし、二音だけで曲の調が決まるわけではありません。最後にレへ落ち着く流れも含めて聴きましょう。

「短調らしさを強く感じる」というのは、私の聴こえ方です。短調なら必ず悲しいと決める必要はありません。曲の印象を自分の言葉で持ちながら、実際に鳴っている音の関係を確かめる練習にします。

全音と半音を、上がる向き・下がる向きで

  1. 全音:冒頭のレとミを一音ずつ押して聴き、止まってから「ラ・ラ」など同じ母音で歌います。次はミ→レの順で確かめます。
  2. 半音:ミとファを同じように聴いて歌います。ファ→ミへ戻るとき、全音ほど広く下げていないかも聴き直します。
  3. フレーズへ戻す:二小節の第1フレーズを再生して、元の音の並びとリズムで歌います。曖昧な二音があれば、またそこだけ聴きます。

二音を逆順に聴くときは、楽譜の音符をその順番で押してください。フレーズ再生は元の旋律の順番で進みます。冒頭が速く感じられたら、テンポを56から48や40へ下げてみましょう。

ふたり音には歌声の録音・採点機能はありません。自分で歌ったあと、ピアノの音を聴き直して確かめます。音域は低いラから高いレまで広がるので、出しにくいところは調や声域の設定を変え、無理なく歌える範囲で練習してください。

最後の低いラと、後半への跳躍

第1小節の終わり、レ→低いラは5半音下がる完全4度です。直前のファ→ミ→レのような隣り合う音の動きとは幅が違います。次の小節では低いラからレへ完全4度上がるので、ここでも上下を一組にして確かめられます。

第4小節のレから第5小節の高いレへは、1オクターブ上がります。第2フレーズと第3フレーズの境目なので、つなぎを確かめるときは全曲再生を使います。後半は同じ高さを繰り返す箇所も多く、冒頭の細かな動きとの違いを聴けます。

1922年の「黄金虫」と、今の「こがねむし」

中野市の中山晋平作品紹介では、「黄金虫」は野口雨情作詞の1922年の作品として挙げられています。練習に使った古い楽譜は、池田小百合「なっとく童謡・唱歌」で、同年7月の雑誌『金の塔』掲載譜として紹介されている複写です。

そこでは題名が「黄金虫」、翌1923年の『童謠小曲』第三集の複写では「黄金むし」となっています。今回のページ名は読みやすく「こがねむし」としました。表記の違いはありますが、比較した二つの古譜の歌の旋律は同じです。

今回の底本と、練習用の変更

今回は『金の塔』掲載譜として紹介される複写の歌唱声部、第1〜8小節を底本にしました。所蔵原本を直接閲覧したものではなく、初出の書誌情報は紹介ページに基づきます。歌の音高・音価と最後の八分休符を保持し、伴奏のみの第9小節、伴奏・歌詞を省いて独自に浄書しています。

比較した現代の楽譜は、エム・ユー・テックの「黄金虫」です。古譜は2/4拍子、現代譜は4/4拍子で音符の長さが2倍に書かれていますが、歌8小節の音高と音の長さの比は一致します。現代譜の前奏・後奏・反復は加えず、古譜の歌を一巡する練習にしました。

テンポの数値は底本にないため、練習用に四分音符=56を設定しています。MIDIとMusicXMLはニ短調・表示譜の高さ・テンポ56で固定です。画面の調・声域・テンポの選択は配布ファイルには反映しません。資料画像や現代の編曲・配布ファイルそのものは転載していません。

短い出だしを、丁寧に聴き直す

まずはレとミ、次はミとファ。一度に全曲を正確に歌おうとせず、上がる・下がる一組を確かめてから、知っている旋律へ戻ります。曲の響きとして感じていたことを、小さな音の動きから聴き直してみましょう。