聴き慣れた曲で、音を確かめる
『アルプス一万尺』で音感トレーニング。3度の上がり下がりを確かめよう
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「アルプス一万尺」は、上がるときも下がるときも3度がよく出てきて、音感の練習になりそうだと思いました。知っている曲でも、その二音だけを取り出すとどうでしょう。ドとミ、ラとドを、ゆっくり行き来して確かめてみます。
まずは、前半のミ→ド→ミを聴く
歌い出しはド・ド・レ・ミ。続く第2小節はド・ミ・レ・低いソです。第1小節の最後のミから第2小節のドへ下がり、すぐミへ戻るところに注目します。ミ→ドもド→ミも、幅は4半音の長3度です。
まず第1フレーズを聴き、止めてから同じ旋律を歌ってみます。次に楽譜のミとドを一音ずつ押して、高さを確かめます。下がったドが高めに残っていないか、戻るミを低く取っていないか、自分の声と聴き比べてください。
「アルプス一万尺」で練習するこの記事の音名はハ長調の表示譜に対応する固定ドです。小節番号は前奏を除いた歌の16小節で数えます。男声設定の再生は表示譜より1オクターブ低くなります。
後半のラとドは、少し狭い短3度
第3フレーズの第10小節はラ・シ・高いド・ラ。最後のド→ラは3半音下がる短3度です。長3度のミ→ドより、幅が1半音狭くなります。
このドとラを逆の順番で押せば、ラ→高いドと上がる短3度も練習できます。元の第10小節はラ・シ・高いドと一段ずつ上がってからラへ跳ぶので、二音だけの練習とフレーズ全体の練習を分けて試します。
旋律の中で直接跳ぶ上行短3度を聴くなら、第15小節の最後、シ→レです。ラ→ドと同じ幅ですが、出発する音が違います。ラとドだけでなく、シとレでも同じ間隔を歌えるか試してみましょう。
上がる・下がるを、一組ずつ比べる
- 長3度:第2小節のドとミを順に押して聴き、音が止まってから「ラ・ラ」など同じ母音で歌います。次はミ→ドの順で試します。
- 短3度:第10小節の高いドとラを聴いて歌い、次にラ→高いドの順で試します。長3度より少し狭い幅を比べます。
- フレーズへ戻す:四小節ずつの再生で、前後の音やリズムを含めて歌います。気になる二音に戻りながら進めます。
二音の順番を逆にする練習では、曲の音符をその順に押してください。フレーズ再生は元の旋律の順番です。歌いにくい高さなら、調と男声・女声の設定を変えます。音を高くすることより、無理なく出せる高さで幅を確かめることを優先しましょう。
ふたり音は歌声を録音・採点する機能ではありません。自分で歌ってからピアノの音を聴き直し、曖昧なところを探すために使います。
3度以外の跳躍と、後半のリズムもある
この曲の動きは3度だけではありません。第2小節のレ→低いソは完全5度下がり、次のドへは完全4度上がります。3度のつもりで狭く歌ってしまわないよう、この部分も二音に分けて確かめられます。
後半の第9・11・13小節には、付点八分音符と十六分音符の組があります。長さは3対1。均等な八分音符の箇所と区別し、追いにくければテンポを96から76や60へ下げて聴きましょう。
第8小節のドは二度鳴りますが、第16小節の二つのドはタイでつながり、一つの音として伸びます。似た終わり方でも、音を打ち直すかどうかが違います。
「Yankee Doodle」から、日本で親しまれる歌へ
「アルプス一万尺」の旋律は、アメリカ民謡「Yankee Doodle(ヤンキー・ドゥードゥル)」として知られています。ネクサス音楽出版の「2つのアメリカ民謡」の楽曲解説では、日本での呼び名と、子どもの遊び歌としての親しまれ方が紹介されています。
今回比較した古い資料は、ロンドンのThomas Skillernによる「Yankee Doodle / The Lexington March」の公開複写です。資料紹介では1782〜1794年頃とされていますが、正確な刊年やこの曲の初出を確定するものではありません。出だしには共通する動きがある一方、続く音や後半の旋律・リズムは今回の現代譜と異なります。
そのため練習には、今の「アルプス一万尺」として聴き慣れた現代公開譜の旋律を採用しました。古い版の音で補ったり、二つの版を混ぜたりしていません。
今回の楽譜と練習用の変更
底本はArt Studio まほろばの「アルプス一万尺」です。ハ長調で表示した第1頁、第5〜20小節を独自に採譜・浄書しました。前奏4小節と反復、コード記号・歌詞を省き、歌の16小節を一巡します。音高・音価、二つの八分休符と最後のタイは保持しています。
配布元の基本の調は変ロ長調です。練習の初期値は音名をたどりやすいハ長調、2/4拍子、底本と同じ四分音符=96にしました。表示譜の音域は低いミから上のファまでです。調を変えても、3度など二音の間隔は変わりません。
MIDIとMusicXMLはハ長調・表示譜の高さ・テンポ96で固定です。画面の調・声域・テンポの選択は配布ファイルには反映しません。資料画像や配布元のPDF・MIDIそのものは転載・再配布していません。
知っている旋律を、二音から確かめる
勢いよく通して歌う前に、今日はドとミ、次はラとドというように、一組だけでも確かめてみます。上がる向きでは合わせやすくても、下がる向きでは曖昧になるかもしれません。その違いを見つけてから、聴き慣れた曲へ戻ってみましょう。