聴き慣れた曲で、音を確かめる
『クラリネットをこわしちゃった』で、同じ音と階段状の旋律を確かめる
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音感の練習というと、二つの異なる音を聴き分けたり、離れた音へ声を移したりすることに目が向きます。でも、同じ高さの音を「同じ」と捉えて、もう一度その高さで歌えることも大切にしたい練習です。
音が変わらないところにも、耳を向ける
「クラリネットをこわしちゃった」には、同じ高さを繰り返すところと、階段を降りるように隣の音へ進むところがあります。聴き慣れた旋律を使って、「高さを保つ」「高さを変える」の両方を確かめてみましょう。
ここでいう「同じ音」は、同じ高さの音のことです。音の長さや発音の強さまで同じとは限りません。リズムが変わっても高さは変わらない、その違いにも耳を向けられます。
「クラリネットをこわしちゃった」で練習する出だしの七音は、同じファ
今回のヘ長調の楽譜では、最初の七音はすべてファです。第1小節の四音、第2小節の最初の三音まで同じ高さが続き、八音目でソへ上がります。まず最初の二つのファを押して聴き、そのあと「ラ・ラ」など同じ母音で歌い直してみてください。
次は七音まで続けてみます。最初に聴いた高さを保てているか、途中から少しずつ上がったり下がったりしていないか。歌ったあとでもう一度ファを聴き、出発点と比べます。最初から七音が難しければ、二音だけに戻って構いません。
高さを保てたら、八音目のソへ。ファ→ファは0半音、ファ→ソは2半音です。同じところに留まる二音と、一段上がる二音を、続けて聴き比べられます。ここに書いた音名はヘ長調の表示譜に対応する固定ドの呼び方です。
階段は、いつも同じ幅ではない
第3フレーズの後半、第23小節にはレ・ド・シ♭・ラと下がる四音があります。「ふたり音」で使う西塚式音名では、シ♭は「チ」に当たります。二音ずつ切り出すと、レ→ドは2半音、ド→シ♭も2半音、シ♭→ラは1半音。音階の隣へ進む動きを「順次進行」といいますが、一段の幅がすべて同じとは限りません。
まずレ→ドを聴いて歌い、次にド→シ♭、最後にシ♭→ラを確かめます。最後の二音を広く下げすぎていないか、もう一度楽器の音と比べてみましょう。そのあと四音をつなぐと、二音で確かめた動きを旋律の中へ戻せます。
第4フレーズの終わりにも、ド・シ♭・ラ・ソと下がり、ファへ着く動きがあります。同じ高さを刻む部分から一段ずつ下がる部分へ、どこで音が動き始めるかを聴くのも練習になります。
リズムが変わっても、同じ高さで
第21小節では、ラを四分音符、八分音符二つ、四分音符の順に繰り返し、最後にドへ上がります。短い音が続くときも、四つのラの高さは同じです。速さにつられて音まで上げていないか、ゆっくり聴いてみてください。
- 一つのフレーズを聴く。 初期テンポは112。追いにくければ80や96に下げます。
- 停止して歌い直す。 歌詞を付けなくても、「ラ」などで音の高さを追えます。
- 迷った音符を押して比べる。 同じ高さが続くのか、隣へ動くのかを二音ずつ確かめます。
- フレーズへ戻る。 同じ高さを保つところと、動くところをつなげます。
第1フレーズは第1〜8小節、第2は第9〜16小節、第3は第17〜24小節、第4は第25〜28小節です。第3には休符のある部分も含まれます。休みを待って入り直すところまで、焦らず聴いてみてください。
高い音や低い音が歌いにくければ、調や男声・女声の設定を変えられます。男声は表示譜より1オクターブ低い再生です。この画面は歌声を採点する機能ではなく、自分の耳で楽器の音と声を比べるための練習です。
フランスの歌が、日本で親しまれるまで
桐朋学園大学附属図書館の調査記録では、原曲はフランス語の「J’ai perdu le do」で、所蔵資料にはフランス民謡、またはフランス系スイス民謡と記されていると紹介されています。同館が挙げる1958年刊の『世界の民謡』には「おやまたはずした」という日本語の題があり、今とは違う題でも紹介されていたことが分かります。
福岡県立図書館の「NHKみんなのうた」代表曲一覧には、1963年2〜3月の曲として、石井好子の訳詞、ダーク・ダックスの歌による「クラリネットこわしちゃった」が載っています。身近な童謡にも、別の言葉や題で歌われてきた背景があります。1958年の楽譜本体や、それ以前の成立過程は今回確認できていないため、どの版が最初かは断定しません。
今回の底本と練習用の変更
底本はArt Studio まほろばの現代公開譜です。ヘ長調のPDF第1〜2頁、第1〜28小節の上声を独自に採譜・浄書しました。古い掲載譜との全音比較は未完了で、この現代譜を原典や初出として紹介するものではありません。
上声の音高・音価・休符を保ち、最初の28小節を一巡します。末尾の反復、第29小節以降とD.S.・コーダ、下声・伴奏・スタッカートは省略しました。底本のテンポ160から初期値を112へ下げ、ピアノ単音で高さを確かめます。歌詞は掲載していません。MIDIとMusicXMLはヘ長調・表示譜の高さ・テンポ112で固定です。
配布元の利用条件に従い、二次制作の出典を表示しています。配布元のPDFやMIDIそのものを再配布するものではありません。
同じ音と隣の音を、楽譜と音で確かめる