ふたり音

聴き慣れた曲で、音を確かめる

『おお牧場はみどり』の楽譜と音程練習。出だしの先まで、覚えていますか

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「おお牧場はみどり」は、出だしならすぐに思い浮かびます。けれど、その先を続けようとすると、少し怪しくなる。私にとって、出だし以外がうろ覚えの代表のような曲です。

覚えているつもりの曲を、途中まで歌ってみる

よく知っている部分にも、6度くらい離れているのでは、と感じる音の動きがありました。口ずさめることと、一つひとつの音の高さを確かめることは、少し違うのかもしれません。

今回は、出だしの先まで耳でたどってみます。途中で思い出せなくなったら、そこが今日の練習の始まり。全部を覚え直そうとせず、短く聴いて止め、迷った二音だけ確かめてみましょう。

「おお牧場はみどり」で練習する

出だしのレからシへ。ここは長6度

練習の基準はト長調です。最初の五音は、レ・低いシ・ド・レ・高いシ。四音目のレから五音目のシへ、大きく上がります。この二音の幅は9半音、長6度です。第1フレーズの出だしに、確かに大きな跳躍がありました。

まず停止中に四音目のレ、五音目のシを順に押して聴き、自分の声で同じ動きをまねします。次に最初から五音を聴き、助走をつけると同じシに届くか確かめます。二音だけで迷っても、前のメロディーがあると思い出しやすいかもしれません。

第2フレーズにも同じ出だしが戻ってきます。なお、第1フレーズの途中にも、長く伸ばしたレからシへ上がる長6度があります。一度目と同じ幅に聞こえるか、比べてみてください。

前半の終わりは、下がる短6度

第2フレーズの終盤には、高いレからドへ下がり、そのドから低いミへ下がるところがあります。ド→ミは下行の短6度で、幅は8半音。出だしの長6度より1半音狭い跳躍です。

「6度」という名前だけで同じ音の幅だと思わず、上がるレ→シと、下がるド→ミをそれぞれ短く聴きます。慣れたら、ミ→ドと逆向きにも歌ってみましょう。上行どうしで比べると、長6度と短6度の違いに耳を向けやすくなります。

この曲の音域は低いシから高いレまで、1オクターブを超えます。初期設定の男声ではシ2〜レ4、女声ではシ3〜レ5です。低い音や高い音が出しにくければ声域・調を変え、今日は歌いやすいフレーズだけにして構いません。

後半は、同じ音でも長さが変わる

第3フレーズからは、短い音の動きが増えます。出だしの低いシ・シ・ドは、0.5拍・1拍・0.5拍。同じシが二度続いても、長さは同じではありません。真ん中のシは拍の裏から始まり、次の拍へまたがります。

うろ覚えのところでは、音の高さだけでなく、長さも曖昧になりがちです。テンポ64や80で短く聴いてから、同じ高さの二音を区別して歌ってみます。歌詞が浮かばなくても、「ラ」など言いやすい音で練習できます。

第4フレーズは第3とよく似ていますが、終わり方が違います。第3はシからラ・ソ・ファ♯・ミ・レへ下り、第4はシ・ラ・ソで結びます。どちらも同じように歌ってしまわないか、最後の一小節だけ聴き比べましょう。練習画面の西塚式音名ではファ♯を「フィ」と表示します。

四つに分けて、思い出せないところから

第1:覚えている出だし。 レ→シの長6度を聴き、最初の五音から練習します。

第2:似た出だしと違う結び。 高いレまで上がった後、ド→低いミの短6度を確かめます。

第3:うろ覚えになりやすい後半。 低いシから始まる、短・長・短のリズムを聴きます。

第4:もう一度、そして終わりへ。 第3と結びを比べ、最後の1拍の休みまで聴きます。

  1. 一つ選んで聴く。 初期テンポは104。速ければ64や80に下げます。
  2. 止めて歌う。 覚えているところまでで十分です。
  3. 迷った前後の音符を押す。 二音だけを聴き、声で比べます。
  4. 同じフレーズをもう一度。 音の高さと長さのどちらで迷ったかを確かめます。

連続再生中に音符を押すと、その位置から続きを聴けます。全曲で位置を探した後、フレーズを選び直す使い方もできます。今日は出だしの先を一つ思い出せた、というところから続けてみてください。

民謡から、「みんなのうた」の始まりの一曲へ

日本語で親しんできたこの曲にも、海外の民謡という背景があります。NHK出版の楽譜情報では、チェコスロバキア民謡、中田羽後の訳詞とされています。今回使ったまほろばの楽譜ではスロバキア民謡と紹介されており、資料によって地域の表記に違いがあります。

日本での歩みで印象的なのは、NHK「みんなのうた」とのつながりです。奈良県立図書情報館の資料案内によると、番組が始まった1961年4月3日、第1回に東京少年合唱隊が歌ったのが「おお牧場はみどり」でした。同館は、この曲を含む初期の放送曲が子どもたちに親しまれ、後に音楽教科書にも載るようになったと紹介しています。

聴き慣れた出だしは、長く歌い継がれてきた曲の入口でもあるのですね。そんな歩みを知ってから聴くと、うろ覚えだった続きにも、もう少し耳を傾けたくなります。

この練習で使った楽譜と、古い資料の確認範囲

底本には、Art Studio まほろばの公開メロディー譜を使いました。原題を「Horela lipka, horela」、スロバキア民謡とする現代の編集譜です。前奏4小節を除いた第5〜20小節の主旋律を独自に採譜し、全体の反復を省いて一度ずつ演奏します。

古い資料としては、1936年の米国の歌集『Music Highways and Byways』に「Ah, Lovely Meadows」が載るという索引情報を確認しました。ただし、今回その掲載譜全体は閲覧できず、現在の旋律との全音比較はできていません。1936年をこの曲の初出とするものでもありません。

日本での資料には、NHK出版提供の小林秀雄編曲による同声3部合唱譜があります。商品情報では1961年4〜5月放送曲、1965年刊の楽譜集第3集所収とされています。公開サンプルは一部が隠れており、完全版との一致は未確認です。今回の練習は、この合唱編曲や特定の録音を再現したものではありません。

練習では、採用譜の音高・音価と末尾の四分休符を保っています。出だしにある付点8分音符と16分音符は、楽譜どおり0.75拍と0.25拍で再生します。底本に添付されたMIDIはこの音型を少し均した長さで演奏するため、聴き比べると違いがあります。

出典表示による二次生成物の配布元の利用条件に従い、表示譜と演奏データを新たに制作しています。日本語歌詞は掲載していません。配布するMusicXML・MIDIはト長調・表示譜の高さ・テンポ104固定で、練習画面の設定変更は反映しません。

覚えている出だしから、続きを確かめる